【サツマイモ考】黒霧島の「一部販売休止」が問いかけるもの 

 人気の芋焼酎「黒霧島」の一部販売休止の報は、サツマイモ基腐(もとぐされ)病によって生産農家だけでなく、加工・流通メーカーにも苦境をもたらしている現状をあらためて浮き彫りにした。

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 サツマイモの流通体系は、青果用、加工用、アルコール用、でんぷん用の大きく4つに分かれ、アルコール用は鹿児島、宮崎の両県の南九州勢による生産がその多くを占める。

 農水省の統計によると、2020年産の生産量は全国トップの鹿児島が約20万トン超、宮崎が同7万トン。そのうち鹿児島が4割超、宮崎が6割超をアルコール用として生産する。

サツマイモ基腐病によって、この南九州勢が収穫減に直面していることが、今回のような焼酎大手の一部商品の販売休止の背景にある。


 つるが枯れ、イモが腐る「サツマイモ基腐病」は2018年秋に宮崎、鹿児島で見つかり「国内初確認」となった。現在は少なくとも全国27道府県に拡大し、被害が確認されている。

 国や地方自治体も病害対策を予算化するなどし対応にあたってきたが、アルコール用に限らずサツマイモ生産は減少の一途をたどる。

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 安価でおいしく、当たり前に食卓にのぼるサツマイモの向こう側には、生産農家、加工業者、流通小売業者、その他の業界関係者、そして病害対策にあたる国や自治体関係者の存在がある。

 生産農家らが出口の見えないイモの伝染病禍の苦境に立たされる現在。将来にわたって焼き芋が味わえ、芋焼酎が飲み続けられるように。イモを買い支えるサツマイモファンの真価が問われているともいえる。【さつまいもニュースONLINE編集部】