行方かんしょのイメージ
■年間2万トンの出荷量誇る有数の産地
茨城県南東部に位置する行方市は、年間2万トンの出荷量を誇る全国有数のサツマイモ産地の一つとして知られる。
今回のGI登録を巡っては、同市の鈴木周也市長を会長とする行方かんしょブランド推進協議会が登録申請していた。
同市のほか、潮来市、鹿嶋市、鉾田市、小美玉市、かすみがうら市―といずれも同じ茨城県内の計6市が「行方かんしょ」の生産地として登録された。
同協議会の登録申請の公示資料などによると、行方かんしょは、糖化して甘味に変化するデンプン含量が多いことや長期貯蔵の効果などから、甘みが強く食味が優れる「青果用かんしょ」に分類される。
時期に応じて品種ごとに出荷期間を限定する「品種リレー出荷体制」を敷き、年間を通じて安定した出荷にも注力。
おイモの表皮下のコルク層を増加させ、病原菌の侵入による貯蔵中の腐敗を防ぐ「キュアリング処理」や、おイモに含まれるでん粉の糖化を促す「定温貯蔵」などを採用。それらの作業を行う「キュアリング定温貯蔵施設」を整備し、品質管理を徹底してきたという。
こうした取り組みが奏功。青果の市場関係者から品質や供給体制で高く評価され、東京市場内の出荷場単位では取扱量でトップに。また、「年間を通して焼き芋を販売するなら、行方かんしょ」との評価も得るようになったという。
■「種子島安納いも」などに続き3例目
3月31日には、農水省で認証式があり、行方かんしょブランド推進協議会の面々が出席し、今回の登録証を受けた。
サツマイモのGI登録を巡っては、水はけの良い火山灰地を活用した宮崎県串間市の「ヤマダイかんしょ」(串間市大束農業協同組合、2018年登録)、元禄年間に当時の国内で最初にサツマイモの栽培が定着した地とされる鹿児島県西之表市など3市町の「種子島安納いも」(安納いもブランド推進本部、22年登録)―がある。
サツマイモ関連で全国3例目のGI登録となった行方市だが、東日本では初の登録が実現したかたちとなった。